唐糸(からいと)

歌川国貞画・曲亭馬琴作『女郎花五色石台』初編(弘化4年・1847刊)より 国文学研究資料館蔵

 かつて源頼朝を暗殺しようとした咎で処刑された伝説の女性。物語の発端として、鎌倉管領・足利基氏の時代に唐糸を葬った五色塚に怪異が発生、執事・高師冬が塚をあばくと、白気が立ち昇るとともに、五つの光る物が四散する。これがのちの五勇婦が出現する因となる。『八犬伝』の女性版であり、馬琴にとっては『傾城水滸伝』に続き二度目の趣向。