賤櫛(しずはた)

蹄斎北馬画・高井蘭山作『星月夜顕晦録』三編(文政4年・1821刊)より 国文学研究資料館蔵

 局・松嶋に仕える侍女。松嶋と恋人・朝比奈義秀の文使いとなる。やがて運命に翻弄され自害を選んだ松嶋に、死後なお忠節を尽くし、遺言を義秀らに届け、さらに北条政子の悪逆非道を明るみに出すなど奔走する。文政期における北馬は、以前の文化期に比べ画風が変化し、師・北斎の影響から脱しつつある。