東奥津軽山里海観図

書名読みとうおうつがるさんりかいかんず
所蔵青森県立郷土館
作成者清白閑人
作成年次元治元年(一八六四)二月
寸法縦二九・七×横四四・〇糎
丁数上巻二八丁 下巻三二丁
備考紙本着色で裏打ち済みで画帳仕立て。
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解説

「東奥津軽山里海観図」は、旅の絵師で清白閑人という人物が、文久元年(一八六一)秋に大坂を出て東北地方へ向かい、津軽弘前に三年間居住し、元治元年(一八六四)に描いたものとされ、旧弘前藩領内各地の景勝地や、人々の生活習俗が詳細に描かれている。
 清白閑人の実名は不明だが、本資料のなかには、弘前城下の富田に住まいを得ていたことが記されている。また、兼平、高木、佐々木という絵師仲間がおり、津軽各地の景勝地を歩いて描いたとみられる。そのような活動を通じて本資料は「甲子(元治元)年)春二月中」に完成し、高木俊翠に贈られたとみられる。その後、長い年月を経て、平成初期に京都市の古美術商に所蔵されていたが、青森県の歴史・民俗に関わる貴重資料であることが判明したことから、平成十六年に青森県立郷土館が収蔵したものである。
 収められている図は総計一三二図で、弘前藩領内の霊山岩木山、山里の景勝地である目屋、および暗門の滝、城下町弘前と黒石、西浜と呼ばれて北前船が往来した湊がある鰺ヶ沢、金井ヶ沢、大戸瀬、深浦、津軽半島北部の竜飛、小泊、十三、三厩、青森市郊外の野内、浅虫など、近世から有名だった景勝地が描かれている。また当時の民衆の暮らしとして、ねぶた、お山参詣、嶽温泉での湯浴み、盆踊り、鰺ヶ沢の綱引き、冬の防寒装束や除雪、遊び、さらには人々が食する魚類等、様々な文物も描いており、現代の状況との変化を比較することができ、民俗学、自然史、博物誌資料としても貴重な資料である。