清道禅尼(せいどうぜんに)

蹄斎北馬画・曲亭馬琴作『石言遺響』( 文化2 年・1805刊) より 国文学研究資料館蔵

 日野良政の妻・月小夜姫が尼となった姿。後醍醐帝の倒幕計画を果たさずに死んだ日野俊基の娘。亡霊となった父や万字前(鏨)などに翻弄され、苦難の一生を送りながらも、小石姫と香樹丸の二人の子を育てる。本作は『太平記』の世界を背景に、小夜中山伝説、具体的には『小夜中山霊鐘記』(寛延元〈一七四八〉年刊)を下敷きとした物語。