津軽外ヶ浜真景図

書名読みつがるそとがはましんけいず
所蔵青森県立郷土館
著者大野文泉(おおの ぶんせん)
成立文化四年(一八〇七)
寸法縦三〇×横約六〇〇糎 一六図
装訂巻子本
備考紙本着色。シミ、ハガレあり。
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解説

 津軽半島の北端部である、鬼泊(現在の青森県東津軽郡今別町綱不知(つなしらず)付近)から今別を通り、算用師峠を越えて小泊に至る道筋の風景を描いたものである。
 海岸等の風景が中心であり、繊細な描写や鮮やかな彩色がみられる。特に、波の白は鮮明である。遠景に見える山や地名については、註釈が入れられている。集落の様子はあまり詳細には描かれず、わずかに遠景でのみ描かれている。人物も少なく、同行者と考えられる旅装束の男一~二名が描かれている図があるに過ぎない。
 本図のなかに雨の日に写生したと思われる図がいくつかあり、写実性を重んじて描かれたことがうかがわれる。
 著者である大野文泉は白河生まれ。幼名は梅之丞、万平。名は安勝。文泉は号。年少の頃、藩主の命で江戸に出て、晩年の谷文晁に師事して絵を学び、帰国してから白河藩の御用絵師となり、松平定信に仕えている。