黒石温泉郷絵図

書目読みくろいしおんせんごうえず
所蔵青森県立郷土館
著編者不詳
写刊年次明治三年(一八七〇)八月
寸法縦二四・三×横二二二・〇糎
備考・紙本着色
・和本仕立て用に折り目をつけた紙を貼り合わせて巻子にした
形跡あり。
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解説

 かつて山形温泉郷ともよばれた、黒石温泉郷各地の風景画を貼り連ねた絵図(絵画)である。作製年代は明治三年(一八七〇)八月と記されているが、作者は不詳。
  黒石城下から現在の平川市葛川(ひらかわしくずかわ)あたりまでの浅瀬石川(あせいしがわ)沿いの道筋(山形路、山形通)周辺には、温湯(ぬるゆ)、板留(いたどめ)、二庄内(にしょうない)、沖浦(おきうら)といった出湯場(いでゆば)(温泉場(おんせんば))や、中野村の不動堂・紅葉山(もみじやま)などの景勝の地が各地にあり、古くから人々に親しまれた。 
 本絵図は、風景とともに地元の庶民、旅人、湯治客などを細やかな筆で描いている。木々や家屋の屋根等に薄墨、人の手足・顔、岩や家屋の壁に肌色または薄朱色を彩色しているのみだが、黒石地方を描いた近世絵画は珍しく、温泉と景勝の地という題材からも貴重な作品である。