弘前并近郷之御絵図

書名読みひろさきならびにきんごうのおんえず
所蔵青森県立郷土館
製作者不詳
写刊年次貞享二年(一六八五)三月か
寸法縦三八六×横三六五糎
備考紙本着色
画像をクリックすると、全体を見ることができます。

解説

 弘前周辺の村、家並、街道筋、山野、河川等を描いた地図。植生・交通・土地利用・建造物・中世城館などの地理的情報を整理し、視覚化することを意識して製作された図であると考えられる。紙本着色。
 図の中心には、弘前城は「御」の一字で示され、中央に配されている。城内については外郭のみが描かれ、その内部は描かれていない。また、城下については、町名等の注記はない。
 この図の縮尺は、「壱寸壱町」、つまり、実際の一町が図上では一寸で表されることになるので、約三六〇〇分の一である。この縮尺は、道のり、土地の幅等には適用されているが、堂社や人家については適用されない。また、小道や小川など細かいものについては図上では標記されていない。
 本図の製作に関わる様々な情報については、国日記に記録がなく、注記もないので、製作経緯については不明である。
 製作者についても同様ではあるが、天和二年(一六八二)に測量技術を見込まれて弘前藩の江戸藩邸に召し抱えられた金沢勘右衛門と清水九郎兵衛、あるいはその二人から技術を伝えられた藩士だったのではないかと推定されている。
 弘前藩が国元で絵図改めを行った際に製作された「御絵図目録」によれば、本図が元禄十六年(一七〇三)にはその下書とともに存在していたことが確認できる。また、同藩が天保三年(一八三三)に製作した目録によると、本図とその下書が弘前城二之丸御宝蔵に収蔵されていたことがわかる。