弘前市実地明細絵図

書目読みひろさきしじっちめいさいえず
所蔵弘前市立博物館
発行年代明治二十六年(一八九三)七月二十八日
寸法縦七十七・〇×横一〇一・六糎
発行者長谷川清太郎(弘前市東長町)
印刷人近藤竹五郎(青森町安方町)
編輯人神谷久三郎(青森町大町)
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解説

 本図は、明治二十六年(一八九三)七月二十八日に発行された弘前市内中心部を描いた地図である。実地明細絵図とは、中心市街地の建物の様子を地図とともに詳細に描いたもので、弘前の他に同様の形式のものが函館(明治二十四年・一八九一)・青森(明治二十五年・一八九二)・ 札幌区(明治二十六年・一八九三)・ 小樽港(明治二十六年・一八九三)・ 八戸(明治二十七年・一八九四)と発行されている。本図では、中央部分に市街地を描いた約一万三千分の一の縮尺図が配置され、その周囲には一二六コマのイラストにより公共施設および商家の外観・ 業態・ 取扱商品などが記載されている。イラストにある公共施設や商家は中央部分に配置された市街地図にその位置が示されている。当時の主だった商家や公共施設について、業態や位置が把握できる点において 、非常に貴重である。また、イラストに描かれている商家の多くが切妻造りの板葺(柾葺)で、軒の出は深く、庇は短く、棟高の低い中二階建てとなっている。その他、格子造りの「出窓」と「こみせ」が設けられるなど、津軽地域特有の商家の特徴が描き出されている。ただし、当時の商家の屋根の多くが石置板葺であったのに対し、本図では石置屋根が見られず、建物の概形は正確であるものの、ある程度のデフォルメが行われていると思われる。

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